活動

2010.08.21-22. 「島の幸せのかたちとは?」海士町見学会

2010年4月、『地方におけるデザインとは?』というテーマのシンポジウムが開かれ、パネリストであるstudio-Lの山崎さんが、ご自身の手掛けた島根県海士町の第4次総合振興計画についてお話し下さいました。海士町では、『島の幸福論~海士ならではの笑顔の追求~』 という独自のテーマを掲げ、積極的なまちづくりを展開しているというのです。このお話を伺い、「実際に海士町を訪れたい!」という強い思いが、私たちの中で込み上げてきました。
今回の見学会では、海士町に足を運び、島の生活に触れ、さらにまちづくりに対し主体的に取り組まれている住民の方々と交流することによって、「海士ならではの笑顔は一体どこから生まれて来るものなのか」、探ってまいりました。

講師:
山崎亮さん(studio-L代表)
西上ありささん(studio-L)
山内道雄さん(海士町長)
松前一孝さん(海士町教育委員会 地域共育課 課長)
下野さん(環境チーム)
ちんちくりんのみなさま(産業チーム)
Iターンの若者のみなさま

参加者:関東13名、関西3名、計16名

活動報告書(15.9MB、PDF形式)

見学会1日目(2010.08.21.)

7:00 JR米子駅に集合。かばの前で記念撮影。
ほとんどの参加者が夜行バスで到着。
見学会前から少しお疲れです。

9:30 菱浦港に向け、七類港を出航 。

片道約3時間の船旅。交流会に向けお勉強したり、海を眺めたり、ごはんを食べたり。

12:40 菱浦港に到着。参加者の2人がペアルック疑惑で、みんなに囲まれています。その後今回の講師である山崎さん、西上さんと無事合流。

交流施設で海士町のまちづくりと総合新興計画「島の幸福論」の説明を受ける。
13:00~ 視察趣旨説明(見学会担当)
海士町へ見学に訪れることになった経緯、参加者の出身地紹介などをしました。

13:15~ 海士町のまちづくりについて(松前課長さん)
まずは役場職員の意識改革からはじめた海士町。交流促進、地産地商、産業創出などを進めています。AMAワゴンを活用した、島の子供たちと都市の学生との交流などおもしろい取り組みも行っています。

13:45~ 質問タイム&町長さんのお話
自身が先頭に立って改革を進めるという強い意志の元、まずは自ら減給を行い、職員の意識改革、さらには町民の意識改革にまで波及させていった町長さん。強いリーダーシップと職員の団結力の強さがまちを変えていきました。

114:00~ 海士町は時代の最先端(山崎さん)
2030年にはほぼ全ての都道府県が人口減少すると予測されている現在、既に人口減少を迎え、それに対するまちづくりを着々と進めている海士町は、時代の最先端をいっているとのこと。

14:15~ 住民のまちづくりへの参加について(西上さん)
第3次総合振興計画(キンニャモニャの変)では、ハードの部分のものづくりは進んだものの、住民の参加は十分ではありませんでした。その反省も踏まえ、第4次総合振興計画では、計画の策定段階から住民がまちづくりに参加し、実行段階においても結局的な住民の協力が得られました。

見学会参加者は海士町総合振興計画「島の幸福論」、別冊「海士町をつくる24の提案」をいただきました。紙質にもこだわっており、役場の方がよく使う本誌は真っ白でツルツル、一方、子どもやお年寄りも手に取る別冊は、やさしい色合いで画用紙のような 手触りでした。

15:00 終了

会場を片付けた後、草の生い茂った山道をのぼり、竹炭工房へ 。

15:30~ 産業チーム「ちんちくりん」の活動説明と竹細工体験
ちんちくりんのみなさんは、人の管理が行き届かず荒れてしまった竹林を再生させようと、間伐した竹で竹炭や竹細工をつくり活用しているそうです。

竹細工チーム、テントチーム、竹割りチームに分かれ、作業。
メンバー全員分の竹箸をつくらなければ、夕食のBBQは素手で食べることになる!というプレッシャーの中、竹細工チームは黙々と作業をつづけます。

テントチームは山に入り、汗だくになりながら竹を伐採。

竹割りチームは、竹を専用の道具等を使い、縦に割っていきました。水分が残っている竹はなかなか割れないらしく、最初はみんな苦労していましたが、最後のほうは慣れた手つきでどんどん割ることがでできるようになりました。

17:15 後片付けの後、自動車で宿泊施設「隠岐自然村」まで送っていただく。

18:00 宿に到着
18:30~ 夕食(海鮮BBQ)
山崎さん、西上さん、松前課長、Iターンの若者たちと、海士町のおいしい海の幸をいただきながら、交流を深めました。

22:00~ 懇親会
1日目終了。おつかれさまでした。

見学会2日目(2010.08.22.)

~8:00 各自朝のお散歩。山の上からはいい景色が。
ただ、朝からもう暑い!

8:00~ みんなそろって朝ごはん。出発までのんびり。

9:30 宿の前で集合写真
この写真は宿の玄関の掲示板に掲載してもらえるそうです。宿の方からメンバー全員に海士町の花のポストカードもいただきました。

9:30~12:00 海遊びチーム、まちあるきチーム、ちんちくりんチームに分かれて行動。
海遊びチームは海にダイブ!

無人島まで泳いだ後、その場で採れた生ガキやウニをご馳走になりました。他にもあわびやサザエも採れるなど、海士の海にはおいしいものがいっぱい。

まちあるきチームは十数戸程度の世帯で構成される小さな集落を探索。住民の方ともお話できました。

その後、両岸を海で挟まれた灯台のある岬へ。海士の美しい海が一望できました。
移動中には隠岐牛も発見!?

ちんちくりんチーム(といっても1人だけ)は竹テントの製作をお手伝いしま した。1人で参加したことにより、島の方とより深い交流ができたようです。

12:30~ 昼食@キンニャモニャセンター船渡来流亭
カキフライ、新鮮なお刺身をいただきました。海士の塩で食べるお刺身はおいしい!

13:00~ 各自休憩&おみやげタイム

13:30~ 総合振興計画環境チームの活動説明(下野さん)
下野さんはこれまで長らく建設業のお仕事をされており、工事を行う上でやむを得ず海 士の自然を壊さざるを得ないという苦しい立場でしたが、そこから一転、自ら環境を整備する会社を企業し、現在はIターンの若者たちの力も借りて、環境に対する取り組みとなれば何でも行っています。

14:40~ 参加者の感想発表
参加メンバーの見学会に対する感想は様々でしたが、全員が共通して感じたのは、海士 町に住む方々が自らの生活をおもいっきり楽しんでおり、また私たちのようなよそ者をあたたかく迎えいれてくれるホスピタリティにあふれているということです。受け入れる海士町側が、Iターンなどで島を訪れたよそ者に対して、決して定住を強要しないため、プレッシャーを感じず、このようにのびのびと暮らすことができているのではないかという意見もありました。

15:40 山崎さんを囲んで
船の到着を待つ間、山崎さんを囲んでお話を伺いました。現在の社会に対して、大きな 船に乗っていては自分の思うことができないというのであれば、自ら小さな船をつくり、漕ぎ出しましょう。荒波に負けず進んで行けば、小さな船の仲間が集まり、大きなこともできるかもしれません。

11:55 七類港に向け、菱浦港を出航。
西上さんの発案で、紙テープのお見送りをしていただきました。山崎さん、西上さんの他に、松前課長さんやIターンの方々、宿でお世話になった方がかけつけてくださいました。その上地元の少年たちも加わり、島の方々と船上のわたしたちとが、幾本もの紙テープでつながった瞬間、この島のあたたかさを全身で感じることができました。テープが切れた後も、お互いの姿が見えなくなるまでずっと手を振り続けました。

帰りは片道約2時間の船旅。
旅の思い出を語り合ったり、疲れて寝る人の姿も。

19:00 米子駅にて解散。
行きと同じくかばの前で最後の集合写真。
あれ?1人足りないぞ。海士町に1人忘れてきたみたい。

今回の見学会は、山崎さん、西上さんをはじめ、島のたくさんの方々にご協力をいただき実現いたしました。本当にありがとうございました。参加者一同すっかり海士町のとりこです。
今年の4月からはじまった海士町とGSDyのつながりが、今後も切れることなく続いていくことを願っています。