活動

2013.9.6-14 GROUND SCAPE DESIGN WORKSHOP 2013

 東京大学工学部1号館土木設計演習室および講義室にて、GROUNDSCAPE DESIGN WORKSHOP 2013を開催しました。

今年で記念すべき10回目となるGSDW。昨年度に引き続き、「銀座」を設計対象地として設計演習を行いました。
(twitterによる実況もあわせてご覧ください。GSDW2013 HP[外部リンク]

今年度の講師陣は以下の方々です。

土木
篠原 修(エンジニア・アーキテクト協会会長 / 東京大学名誉教授)
小野寺 康(小野寺康都市設計事務所)
中井 祐(東京大学)
西村 浩(ワークヴィジョンズ)

建築
内藤 廣(建築家 / 東京大学名誉教授)
千葉 学(千葉学建築計画事務所 / 東京大学)
乾 久美子(乾久美子建築設計事務所 / 東京藝術大学)

都市
羽藤 英二(東京大学)
小林 博人(小林・槇デザインワークショップ / 慶應義塾大学)


対象地域と課題設定

 設計対象地を「銀座」に移して2年目となります。日本を代表する繁華街として栄えてきた銀座においても、アイデンティティを維持しつつ新陳代謝をすることは切実な課題となっています。ましてや地方都市においては尚更です。そこで今年度は銀座という都市の履歴を踏まえた上で都市のアイデンティティおよび新陳代謝のかたちを考え、都市空間のあらたな未来をデザインすることを課題としました。

2013.9.6 現地見学会

 午前は実際に銀座のまちづくりに関わっている小林先生の解説のもと、中央通りや三原橋地下街、歌舞伎座、そして路地など銀座の様々な場所を見学しました。午後は班ごとに分かれ対象地などを自由に見学した後、懇親会を行いました。懇親会では参加者にそれぞれ銀座で感じたことを10字で発表してもらいました。

2013.9.7 内藤先生・小林先生・事務局講義+コンセプト発表

 午前には内藤先生・小林先生・事務局による講義を行いました。WSに向けての心構えや、銀座の変遷や現在のまちづくりに関する内容でした。その後、夕方からコンセプト発表がありました。講評者は内藤先生・小野寺先生・中井先生・西村先生・羽藤先生でした。自分たちの抱く銀座のイメージに引きずられる班が多くありました。

2013.9.8 作業日

本格的に議論開始です。コンセプト発表の講評を受け、各班それぞれのペースで作業を進めます。もう一度現地に見学に行く班、ひたすら議論をぶつけ合う班など様々でした。

2013.9.9 小野寺先生・中井先生エスキス

 午前中に小野寺先生・中井先生によるエスキスが行われました。各班とも、自分たちの常識から抜け出して考えるきっかけになったのではないでしょうか。午後から翌日の中間発表に向けて、追い込み作業です。

2013.9.10 篠原先生講義+中間発表

午前には篠原先生によるデザインする上での考え方などに関する講義が行われました。また午後には中間発表がありました。講評者は篠原先生・千葉先生・小野寺先生・中井先生・羽藤先生・小林先生でした。銀座だからこそできるデザインを見つけることに、どの班も苦労しているようでした。

2013.9.11 乾先生・羽藤先生エスキス

 夕方に乾先生・羽藤先生によるエスキスが行われました。中間発表を受け、各班でそれぞれ違った案の議論が進み、面白くなってきました。演習室もだんだんと模型やスケッチ、メモで溢れてきました。

2013.9.12 千葉先生・西村先生エスキス

 午後に千葉先生・西村先生によるエスキスが行われました。最終発表前の最後のエスキスを受け、ラストスパートです。かたちが見えてきた班もちらほら出てきました。

2013.9.13 最終講評会前日

 最終発表に備えてアイデアを固め、模型やパネルを作成し、プレゼン準備です。終日イベントはなく、ひたすら突き進みます。

2013.9.14 最終講評会+懇親会

 講評者は篠原先生・内藤先生・千葉先生・乾先生・小野寺先生・中井先生・西村先生です。

[Group A] 歯抜けのコントロール
密集した銀座の空地と建物の更新をコントロールすることで、ただの空地から豊かなオープンスペースに変え、街区全体ににぎわいを持たせる。

[Group B] 粋な余白
高密度なビル群を間引いて“余白=銀座らしさ”を創出する提案。最小限の面積で開放感を作り出し、高級ホテル等の複合施設へと転換することで魅力的な空間と商業の両立を目指す。

[Group C] 路は踊る 街は色めく
個々のビルの更新でも面的な大規模再開発でもない、小さな再開発を積み重ねてできる”路(みち)”によってビル同士を貫通し、敷地を越えた繋がりと多様性を生み出す。

[Group D] 銀座を組みなおす
通り、舞台、ギャラリー等多様な空間を演出する“帯”から銀座を再構成し、立体的な銀ぶらを提案する。

[Group E] 銀座に畑をつくる
銀座を新陳代謝のパイオニアと位置づけ、革新的なオープンスペースとして生産を地方に依存する都市において、農作物を生産することを考えた。

[Group F]あいまみえるまち
銀座の“愛と欲と見栄”を次世代に受け継ぐための提案。訪れる人々が銀座に抱くイメージに合わせた行動パターンを想定し、コラージュすることでまちをつくる。

[Group G]防災インセプション
防災性の低い銀座に小規模開発によって防災機能を埋め込む=インセプションすると同時に、日頃人々が目にする部分をデザインすることで防災意識もインセプションする。災害1日のためでありつつ365日を楽しめるまちを目指した。

最終結果は、1位Group B、2位Group D、3位Group Fでした。

 WS前は銀座においてどのような新しい未来を提案してくれるか期待する一方で、銀座は若者にとって親しみがなく経験も乏しい場所であるため、切り口を見つけることやデザインする勇気を持つことが難しいのではないかという不安もありました。しかし最終的な提案ではどのチームもそれぞれ独自の視点で銀座をデザインしたと思います。銀座での暮らし方を考えたものや人の心理を追求したもの、農業に挑んだもの、防災計画を提案したものなど多種多様でした。

 最後に参加者の皆様、お疲れさまでした。今後のこの経験や人のつながりを大切にして下さい。そして学生の提案に対して真剣に議論して下さった講師の方々、困り果てた班員に適切なアドバイスを下さったチューターの方々、準備運営に関わってくれた学生の方々、本当にありがとうございました。